今シーズンも中国国内のプロクラブが数チーム解散を余儀なくされた
その理由のほとんどが資金面による経営難
この解散によって被害を被るのはトップチームの選手やクラブスタッフだけではない
アカデミー下部組織の選手やスタッフも皆行き場を失ってしまう
今シーズン江蘇FC(江蘇蘇寧FC)は昨シーズンの中国スーパーリーグチャンピオンでありながらクラブの解散という決断を下した
解散の理由は資金難によるもの、多くのクラブが資金難に陥ったときに最後の選択肢として選ぶ政府に経営を譲渡する策も叶わずクラブは解散となった
そんな江蘇FCにもプロ選手を夢見て日々努力を続けてきた多くの子供たちが下部組織に在籍していた
強化チームのアカデミー、普及クラスのスクールとクラブの本拠地となる南京市を中心に多くの子供たちがサッカーを楽しんでいた
今回の問題点はそんな子供たちにもクラブ解散の影響が多く響いている
下部組織強化チームは各カテゴリー存在し一番上ではU19、一番下ではU12が活動していた
U19やU18の選手たちはすぐに移籍先を見つけることが出来たようだ
この年代は日本遠征を経験し、サニックス杯など日本の大会などにも参加している
当時率いていた指導者とは知り合いなので注目していた年代であった
その下のカテゴリーの子供たちは皆南京市内にある私立の学校(小学校、中学校、高校)に無償で通っていた
全ての学費をクラブ側が負担していた
この学校は成績がいい学校であるのだが、クラブの子供たちだけで構成されたクラスに在籍し彼らの成績は学校側に加味されないという事情まであった
常に一緒にいた子供たちはチームとしての団結力は高かったであろう
そんな彼らはクラブの解散によってサッカーする環境が無くなったことはもちろん
仲間たちと過ごすはずであった日々も失いかけている
これまでクラブが負担していた学費を自己負担へと変わり
多くの家庭が苦しんでいる、なぜならこの学費私立の学校だけあって高額なのだ
年間6-7万元かかり、一般家庭からしたら大きな負担になる
そのため多くの子供たちが転校する選択を選んでいるのだがこれもまた簡単にはいかない、学籍を移すことが簡単にはいかない
ましてや江蘇省各都市から集まってきた子供たちが南京に学籍を移して、また元の都市に学籍を移すのだから手続きは面倒だろうと想像できる
聞くところによると転校先が見つからず一時的に学校に通えない子供も出てくるのではとの懸念があるらしい
非常に残念でならない、サッカーエリートたちのこれからはどうなってしまうのか
また中国国内のSNSでも少し話題になったのが
スクールに通う小さな子供たちが最後の練習を終えた後に泣きながら
まだここでサッカーがしたいと訴えている映像である
リーグチャンピオンであるクラブのユニフォームを身に纏い
自分もいつかプロになることを夢見ていた子供たちの夢が儚くも散りかけている
南京には多くのクラブがあるので移籍先はすぐに見つかるだろうが
今回味わった経験はトラウマとなるか、はたまたモチベーションとなるか
この様にクラブの方針や経営状況によって
夢を持つ子供たちのサッカー環境が簡単に奪われてしまうのが今の現状ともいえる
もちろん育成に力を入れているクラブも存在している
しかし本気でサッカーが出来る環境が少ないのも事実
どこに投資をすべきか、どこに時間をかけるべきかを各クラブがしっかり認識していくことが求められる
-Enjoy Football-